悲傷回廊

見渡せばきらきら光る綺麗なものばかり。


僕は全部ほしいと手を伸ばす。


けど、ちっちゃなこの手じゃ拾ったそばから零れていく。


拾っては落として拾っては落としての繰り返し。


手に残ったのはほんの少しだけ。


一番ほしかったものは手に入らなかった・・・





だから近くにあるものだけを拾うことにした。


動かなくて届く範囲のものならこの手に収まるから。


・・・もうこれで拾ったものを落とさなくてすむ。


・・・・・もうこれで拾えなくて悲しい思いをすることもない。





それからずいぶん経ったある日、遠くでひときわ綺麗に輝くものを見つけた。


僕はそれがとてもほしくなった。


傷つくことになるかもしれないと知りながら。





それでもほしいと思った。


だから手に入れるために歩き出す・・・・





そしてまた、近くにあるものだけを拾い始めるのだろう。