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このスイッチを押すと大好きな人が幸せになって見知らぬ人が一人不幸になります。
押しても自分に罰は起きません。
ただ「大好きな人が幸せになって見知らぬ人が一人不幸になる」のです。
さぁ、あなたは押しますか?押しませんか?
何処からか楽しい歌声が聞こえてきたんだ。
誘われるまま家を通り過ぎる。
そして初めて通る道を声のする方向へ進んだ。
すれ違う人々はみんな笑顔で。
けど、目的の場所は思ったより遠いところにあるみたい。
短くないその上り坂を登った先には小学校がありました。
その小学校のグランドに向かって人の流れができていて。
その流れと一緒にグランドにはいると・・・・・
グランドは赤提灯で彩られていました。
中心には和太鼓。
それを囲んで踊る人々。
満面の笑みを浮かべた浴衣をきた子。
偶然見つけた祭り。
そこには幸せが広がってました。
とても心地よくて。
小さい子達の笑顔を見て、昔を思い出して。
考えてはいけないことを考える。
昔は今をまったく分からなかった。
こうなるとは思っていなかった。
僕は幸せがあふれた祭りの中で、もう一度幸せになりたいと願う。
でも、今も幸せ。
だけど。
求めるのはこの祭りの中にあふれている幸せなんだ。
ほんと、不思議。
だって・・・・
気づいたら一人暮らしをしているんだから。
部屋に当然の如く存在する家具、服、TV、パソコン。
確かに運び込んだ記憶がある。
しかし、過ぎ去った過去、記憶という曖昧なビジョンは・・・・
あっという間に思い出し、そしてあっという間に終わる。
現在は永遠のようで。
過ぎ去った時間は刹那。
ならば。
死んだら生もまた一瞬の出来事だったという事になるのだろうか。
故に。
また手に入れる事は無い。
何故、幸運は平等に訪れないのか。
何故、努力しても報われないのか。
何故、確実なもの意外手に入らないのか。
何故、夢は叶わないのか。
何故、願いは届かないのだろうか。
何故、想いは伝わらないのだろうか。
世界を疑い始めた僕。
世界を信じられなくなった今・・・・・
僕はこの世界で生きていくことが出来るだろうか?
始まりは何の変哲もない建物の中だった。
何も変わらぬ平静から・・・・・
死は突如現れた。
僕は逃げた。
真っ先に逃げた。
圧倒的で絶対的な死から。
助かる術はあるのか?
逃げ切ることは出来るのか?
ただ、がむしゃらに走った。
まわりには血のにおい。
次に飛び散るは隣を走る子の血か?
それとも僕の血か?
背後から死の気配が遠のいていく。
助かったのか?
僕らは身を寄せ合い生を確かめる。
その時だった。
僕らは囲まれていた。
近づかれすぎて気がつかなかったのか。
散る散る散る・・・・・
男の子が。女の子が。
そして僕が。
その時。
確かに見えた。
確かに聞こえた。
「いたい うらんでやる くるしい のろってやる たすけて ころしかえす」
それは転がるものからの意思。
僕だったものからの意思。
血のにおい。
生の終わり。
これは夢か?
そう思った瞬間、目に写るものが変わった。
隣には小さな男の子と女の子が寝ている。
それは私の子供達。
僕は私になっていた。
そして僕の記憶がどんどん消えていく。
僕が消えていく。
どんどん私になっていく。
嫌だ。怖い。
今までの僕がなくなる。
今までがすべてなくなる。
私の記憶が埋め込まれる。
真実はどちらか?
僕か?私か?
今は僕、数分後には私。
それこそが死で死後で再生か?
目が覚めた。
夢と現実。
どちらがどちらなのか。
今の世界はどちらなのだろうか。